下川町は、北海道の北部に位置する人口約3,000人の町で、面積の約90%が森林で占める自然豊かな地域です。夏はプラス30度を超えますが、冬はマイナス30度を下回る年もあるなど、日本国内でも寒暖の差が大きく、厳しい寒さと降雪量も多い積雪寒冷地です。
 
 1901年に岐阜県高鷲村(現在の郡上市)からの入植により、下川町の歴史が始まりました。開拓以降、農業、林業・林産業、鉱業を基幹産業として発展し、1960年の人口は1万5,000人を超えました。しかし、基幹産業の衰退による人口減少が急速に進み、1980年の国勢調査では、人口減少率が北海道で1位、全国でも4位になるなど、地域の活力が著しく失われていきました。
 
 このような厳しい現実に対して、町民は真摯に受け止め、危機感と問題意識を抱くようになり、新規事業の発掘、イベント企画、住民参加の醸成、地域外への情報発信など、多岐に渡るふるさと運動を展開し、知恵・工夫・行動による挑戦(しもかわイズム)により、急速な人口減少に一定の歯止めがかかり、今日に至っています。
 
 2001年には、森林を中心として、経済・社会・環境の三つの側面から統合的な課題解決を目指す「森林共生社会のグランドデザイン」を策定するとともに、2007年には、町政運営の最高規範にあたる下川町自治基本条例の前文に「持続可能な地域社会の実現」を目指すことを明記しています。
 
 町の財産である「森林」を持続的に活用しながら余すことなく使い、森林総合産業の構築(経済)、超高齢化対応社会構築(社会)、エネルギー自給と低炭素化(環境)を柱に、地域課題を解決する取り組みに着手し、持続可能なまちづくりを進めています。